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〜私の美学〜

天丼は好きだけど、カツ丼と中華丼と牛丼はダメ!
何故って、御飯とおかずが混ざる光景が美しくない。だから、鍋焼きうどんと月見そばも好ましくない。 カレーライスはライスの上にカレーがのっていると、これはもう食欲が減退する。
逆に会席料理はステキ!色々な味が混ざらず、1つ1つゆっくり楽しめる。
「単なる好き嫌いか、食わず嫌いじゃないの?」ってよく言われるけど、これが私の食の美学。

最近は忙しくて、化粧もせずにお客様の前に出てしまう事もあるけれど、素顔は好きな人にだけ見せたい。
朝、ゴミ出しにスッピンで出る時は、下を向いて歩く。御近所の方に会わないよう極力避ける。
化粧をしない自分は、私本来の姿が全て露見するようで嫌だし、そうそう簡単に私の心の奥まで他の人に見せられない。
反対に化粧をバッチリして、お気に入りの服装で外出する時は、これはもう真っ直ぐ前を向いて目線もそらさず、態度がでかくなる。(嫌な女ダナー。)
よく悩みがあったり辛いと女性はついつい自分に構わなくなるが、苦しい自分を他の人にわかられるのが嫌で、そういう時こそいつも以上にお洒落をする。これが私の美学。

しかし、逆も真なりで、いつも仕事も遊びも付き合いもよい男性が、何か悩んでいるのか、それを一生懸命隠そうして、フト見せてしまう弱さが好きだ。ここまで頑張っているのかと思うと、思わず

「私がいるわよ・・・。」

と、言ってあげたくなる。(迷惑かナー。)

学生時代はよく鏡を見て、いかに自分が魅力的に見えるか研究した。 映画の女優さんがお手本だったけれど、ニッコリ微笑む時は『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーン。 殿方とお話する時は目を上目使いにパチパチさせて『風と共に去りぬ』のビビアン・リー。 たまには男装の麗人っぽくネクタイなんかしめちゃって、クールにグレタ・ガルボ。 座る時は足をななめに流した方が長く見える。 笑う時に口元に手を添える時には、指を反らした方がチャーミング。
などなど―
だけど、これが大きく崩れた事件があった。

10数年前、仕事の関係で2人のアメリカ人商社マンの方と知り合いになった。 1人はベジタリアン、もう1人はロバートレットフォードばりの紳士。 お2人共身長は180cmぐらいで、それはもうカッコイイ。 踊りに行くとベジタリアン殿が『サタデーナイト・フィーバー』ばりの踊りを見せ、フロアーにいた 若者達が一瞬退いてしまう程。その2人が「ちづる!ちづる!」と連発するもんだから、私は女王様気分。 学生の時、映画を見て研究した成果をここで発揮しなければと、精一杯気取ってみせた。が・・・。
紳士殿が私の顔をジッと見つめ、 「ちづるは本当にステキな女性だ。」(いよいよきたな。)
「だけど、笑う時手を口元に持っていくのはやめなさい。アメリカでは自信のある大人の女性は、口を開けて笑う。手を口元に持っていくのは子供だけだ。」 何??私が一生懸命練習してきた努力はどうなるの?そんな事して銀歯が見えたらどうするのよー。 これが慣習の違いか、文化の違いか。

しかし、紳士殿の弟さんが来日して紹介された時、緑のジャンパーのポケットに手を入れたジーンズ姿の足の長い彼に、 思わずジェームス・ディーンの面影を見出し、これぞアメリカ人の友人を持った恩恵とニンマリ。 英語しか話せない彼に、学生時代英語の点数が2だった私が、知っている限りの単語で話しかけ、笑う時は口元に手を添えず、 口を閉じ口角を引き上げて笑うように努力。最後にアイスクリームとケーキに、チョコレートをかけるデザートには辟易したけれど、 無事にディナーも終わり、タクシーで帰宅しようとタクシー乗り場に向かったところ、数台のタクシーが何故か乗車拒否をする。 やっと初老のタクシー運転手さんが乗せてくださり、次々に自宅前で降りて、最後に私1人が残った。
すると、運転手さんが

「お嬢さん(?)、まだ若いんだからよく考えなさいよ。」
「え?」
「よくないよ。」


何が何が??何か勘違いされてない?思わず、 「ノー!ノー!フレンドリー!」 しまった。さっきからの延長で、片言の英語で叫んでしまった。 あーあ、まだ日本の社会はこういう見方をする方もいらっしゃるのか。 何とも言えず、困惑した私でした。


『ちづるの美学』はまだまだいろいろあるけれど―
飲食や買い物をして、お金を支払う時は小銭を出さない。おつりの中に、珍番号かエラー貨があるかもしれない。
部屋には毎日生花を飾りたい。心が和むから。
K-1よりプロレスが良い。技に美学を見出すネ。
単に好みの問題と言われればそれまでだが、やっぱり気分良く生活したいじゃない。
仕事以外は好きな事に囲まれていた方が人生は楽しい。

さて、その仕事での美学だが、これは難しい。
経営者としてはお金がたくさん儲かった方がいいけれど、そんな簡単なものじゃない。
やっぱり毎日コインを1枚1枚丁寧に見る事が一番だ。
コインは芸術品である。
理屈ではなく、真の芸術には、常に感動が伴う。その後に説明がついてくる。
そして、その感動に出会うには1枚でも多くのコインを見る事だ。
よく「真正品の識別方法を教えてください。」って質問されるが、私は

「確かにポイントはたくさんあるけれど、あなたの感性を一番大事にして。今まで色々コインをご覧になっていらっしゃると思うけれど、これは素晴らしいと感動するコインが必ずあるでしょう。本物は1つ。きっとそれは間違っていないと思いますよ。」

と、答えるようにしている。

これが、私のコイン商としての美学であり、コインに対する敬意と愛情でもある。

ちづる 名前: ちづる
生年月日: 年齢不祥(ということにしておいて)
趣味: パチ○○(大きな声じゃ言えないが)
好きな食べ物: お寿司・ライチ(楊貴妃が好んで食べたから)
好きな時間: 仕事が終わってビールを飲む時
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